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宿直室で3

 松葉は火照った樹理の乳房をゆっくりと転がすように捏ねた。
 唾液で湿り、興奮の残り火で尖る頂が手のひらに心地良い。
 膝を崩して布団の上に座る松葉に目を閉じ背を預けた格好の樹理は、背後からの
愛撫に満足そうな溜息を漏らし、僅かに身じろぎした。
 その秘唇から松葉が放ったばかりの精が僅かに滲む。
 宵の口、灯りの小さな宿直室に事後の気だるくも甘い雰囲気が漂っていた。
 事が終わってもさっさと着替えたりせず、お互い離れられずに軽く愛撫し合う。
 特にどちらかが言い出した訳でもなく、暗黙のルールとなっているこの時間は、
ともすると激しくお互いを求め合っている時よりも、心を溶かす。
 松葉が愛撫の対象を乳房全体からその頂に変えたのを切欠にしてか、樹理が薄く
目を開けて肩越しに松葉を見上げて告げた。
「せんせぇ?」
「ん?なんだ?」
 松葉は情事の後の気だるさに夢現で答えたが、
次の一言にその眠気が吹き飛んだ。

「高橋先輩に、私達の事気づかれたかも……」

「んなっ!?お前、なんでそんな重大な事を黙ってた!?」
 驚きに松葉の全身が強張り、
「いたぁい!せんせぇ、乳首が取れちゃうよ!」
その拍子に愛撫中の乳首を捻られた樹理が悲鳴を上げた。
「あ、すまんすまん……しかし、なんで直ぐ言わない?俺達の関係が世間にばれると…!」
「え~と…久しぶりだったから、シた後でもいいかなぁ~って痛い痛い!降参だよ~!」
「久しぶりっつったって、試験中の4日間だけだろうが!で?どういう事だ!?」
「うう……本当に取れちゃうかと思ったぁ……ねぇ、せんせぇは私と4日できなくて
溜まってなか…あ、解りました!言います言います!もう引っ張らないでぇ~!」
 胸を攻められながら説明させた所、部活の終わり際にバレー部部長の高橋から
「佐藤さん、最近松村先生と仲良いの?」と聞かれた、という事らしい。
「なんだ、それだけか?」
「そう、だからそんなに差し迫ってないと思って~」
「確かにそうだが、何でそう思われたが気になるな…俺達、普通にしてるよな?」
「はい~」
 樹理が宿直室に来るのも一旦校門から出て下校したように見せかけ、裏門から
松葉が招き入れる、という手間をかけ、周りの人間に不審がられないようにしている。
 裏門といっても鉄製のドアなので、外からは誰が開けているか解らない。
 もし、高橋がそれを偶然見かけたとしても松葉と逢引しているとは思わないはずだ。
 ぽやぽやと気の抜けた返事に妙な不安感を煽られるが…
「これからはより気をつけないとな」
「ですねぇ……あ、ねぇねぇ、せんせぇ?」
「なんだ?」
 何か気が付いたことがあるのかと身構えてみれば、
「乳首攻められるの、ちょっと良くなってきたんですよぉ、なのでまたやって貰えませ…
いたたたたたたたたた!!!せんせぇつよいっ!!!とれちゃうとれちゃううう!!!!」


「1、2、3、4ぃ」
「5、6、7、8!」
 23名のバレー部員達が部長の高橋の声に気の入った掛け声を合わせる。
 放課後の体育館。いつものように部活が始まり、部員達は運動前のストレッチに余念が無い。
 松葉はふと樹理の方に流れそうになる視線を制御し、ふわふわと目を泳がせる。
 どうにも落ち着かない松葉は普段しないようなネットやボールなどの備品チェックを始めた。
 ネットは危なげなくピンと張られているし、ボールはまだ使われてもいないので片付いている。
「なな、はちっ」
 樹理は体だけは柔らかいので、直立からの前屈でペタリと両手の平を床に付けている。
 ストレッチが終わった。
「10Mダッシュ5セット!終わったら者からパス出し10!」
 特に新しいメニューでも無いので、最小限の指示で済む。
「はい!」
 松葉の指示に小気味良く応えた部員達は全員体育館の端に移動し、1番手2番手に分かれて
短距離ダッシュを始めた。
 1番手が反対側の壁に全員手をつくと、2番手が走り出し、2番手が壁に全員手をつくと
また1番手が走り出す。
 主に敏捷性を鍛えるメニューであり、樹理が苦手とするメニューでもある。
 果たして、2往復目から樹理を筆頭に、1年の何人かが遅れ始めた。
「佐藤!甲斐田!スピード上げろ!」
「はぁい!」「はい!」
 激を飛ばすと、心持ちスピードが上がった。
 が、樹理はもう顎が上がってきている。
 布団の上ではあんなにタフなのに、部活ではなんでこんなにスタミナが無いのか、などと下品な事を
考えているとまた自然と樹理の方へ視線が行く。
 意識しないようにと心掛けた途端に以前よりも樹理を見てしまっているような気がした。
 松葉は不自然に見えないようにゆっくり樹理を視界から外す。
 すると、次に走り出す体制で自分の方を伺う高橋と目が合った。
 松葉は動揺を隠しつつ、精一杯しかめっ面を作ると、再度激を飛ばした。
 
 高橋の視線が気になって指導に集中できない事この上ない松葉は、取り繕うように妙に厳しく
指示を出す。
 そして、必然一番体力の無いものが根を上げた。
「あぅっ!」
 樹理が右足首を床に押し付けるようにして転んだ。
 すぐに近くの部員が駆け寄り、手を貸して立ち上がらせるが、やはり足首を捻ったのか体重を左に寄せ、
右足を引きずるようにしている。
 保健室に、と同級生の部員が勧めるが、大丈夫!大丈夫!などとへらへらしながら答える樹理。
「おい、佐藤」
「うあっびっくりした」
 小走りで近づき声を掛ける松葉に、真に迫らないリアクションを取る樹理。
「保健室に連れてってやる」
「え、でも…」
「捻挫でもしてたらどうする、早いうちに処置しておいた方が良い…
お前ら!俺が戻るまで1軍2軍で模擬試合をやっておけ」
「はい!」
 有無を言わさぬ勢いで指示を飛ばすと、すっと樹理の前に屈む。
「もぅ…」
 樹理は特に抵抗はせず、素直に負ぶさってきた。
 
「せんせぇ、心配してくれるのは嬉しいけど、
昨日高橋先輩に疑われてるって言ったばっかりなのにぃ…」
「あ~、皆まで言うな、ちょっと後悔してんだからよ」
 体育館から程近い保健室に向かって廊下を歩きながら、ぽつぽつと会話を交わす。
「せんせぇって結構考えなしで行動するよね~、あ、もしかして、保健室でする、とか?」
「お前な……なんでも手当ては早い方が良いんだよ、手当て優先だ」
「んふ♪」
 樹理はそれから特に語らず、上半身を松葉の背に預けた。
 
「なんだ、木村先生は留守か」
 何時も詰めている保険医、木村薫の姿が見えない。
 部員達を長時間放っておく訳にもいかないので、松葉は手早く樹理の手当てをすることにした。
 樹理を丸椅子に座らせると、湿布とテーピングテープを探す。
 解り易く棚に「消毒・絆創膏」「湿布・包帯」などと書いてあるので、目的のものを探し当てる
のは簡単だった。
 樹理の前に屈み込むと、軽く右足首を屈伸させ、痛がる筋に沿って湿布を張り、テーピングする。
「おお、せんせぇ手馴れてるねぇ」
「体育教師だからな」
「初めて先生らしい所見た」
「……お前、部活で誰の指示を受けてるんだ?あぁん?」
「だって、私がいつも見てるせんせぇは、ねぇ?」
 樹理が艶を含んだ眼差しで、首を傾げる。
 急に目の前にある樹理の太ももが意識された。白く柔らかい肌に思わず手を伸ばしそうになる。
 が、ここで一戦交える訳にはいかない。いつ木村先生が返ってくるともわからないのだ。
「帰りは車で送ってやる」
「え、本当?やた~!」
 樹理が万歳する。
 松葉は子供っぽいリアクションをとる樹理に苦笑しながら立ち上がった。
「ウチに泊まってく?」
「……上がり込む訳ないだろ、常識的に考えろ」
「大丈夫だよ、ウチ、お父さんもお母さんも滅多に帰ってこないし~」
「……まあ、その時に考える」
「んふふ~」
 解ってるよ、とばかりに笑う樹理の唇に軽く口付けてから頬を撫でる。
「それじゃぁ、部活が終わるまでここで待ってろ」
「はぁい」
 樹理が右頬に添えられた松葉の手に頬擦りをして甘えながら答えた。
 
「せんせぇ?」
 松葉が僅かに開いていた保健室の引き戸の隙間に指を掛けると樹理が声をかけてきた。
「なんだ?」
「早く帰ってきてね?」
「それ、言いたかっただけだろ?」
「うん♪」


「よし、今日はここまで!」
「お疲れ様でした!」
 いつもと同じ時間に部活を切り上げる。
 挨拶の号令が終わると下級生達が用具の片付けに入る。
 着替えに使える部室はそこまで広くは無い為、片付け作業の間に上級生は帰り支度を済ませ、
入れ替わるように下級生が部室を使うのが慣わしだ。
「先生、佐藤さんが戻って来ませんけど、怪我の具合はどうだったんですか?」
「ん?ああ……大した事は無さそうだったが、念の為保健室で休ませてる」
 松葉が片付けを進める下級生を眺めていると、着替え終わった高橋に不意に声をかけてきた。
 高橋は髪を短く揃えており、いつもはサラサラのそれは汗で僅かに湿っている。
 少しつり目気味の丸い目が探るように松葉を見つめていた。
「そうですか……では、私が着替えと荷物を保健室に持っていきますね。部室は閉めてしまいますし」
「ん?あ、ああ、そうだな」
 松葉は佐藤の着替えを自分で持っていくつもりだったが、考えてみれば、女生徒の着替えを男の教師が
持って行くのは常識に反する事だろう。
 佐藤の着替えを見慣れてしまっているので、意識の外になってしまっていた。
「すまんが、頼む。その後は俺が車で送って行くから、着替えが終わったら知らせてくれ」
「佐藤さんを家まで?」
 松葉には高橋が僅かに体を硬くしたように見えた。
「脚を捻っているからな、歩いて帰らせる訳にもいかないだろう?」
 そう、これは当たり前の事だ、という事を強調するように松葉は言葉を重ねようとするが、
「では、私も佐藤さんに付き添います」
 それを高橋に遮られた。
「は?」
 その思いもよらぬ発言に間の抜けた声を出してしまう松葉。
「少し、お伺いしたい事もありますから」
 高橋は松葉から視線を外して、声を潜めながら、深く、切り込んできた。
 
 
 高橋を連れて保健室に行くと、予想通り樹理はあからさまに不機嫌になった。
 高橋に付き添われて車に向かう間も、乗り込んだ今も、ふくれっ面を崩す気配が無い。
 こんな態度では、高橋が例え自分達の事に気がついてなくても、感づかれてしまうのではないか、
などと松葉は運転しながら苦笑気味に口元を歪め、バックミラーで樹理を窺い、思った。
 まあ、さっきの発言からすると、もう隠す必要も、
「先生は、佐藤さんと付き合ってるんですか?」
無いらしい、松葉は苦笑を深くする。
 樹理がはっと表情を変えるのがミラーに写った。
 さて、どうしたものか、と松葉が少しの間返事をせずに考えこんでいると、樹理が先に口を開いた。
「そうですよ。私と先生は愛し合ってるんです」
 いつものぽやんとした口調を少し硬くし、言い切る。
「ぶっ!?」
 松葉は思わずブレーキを踏み込みそうになった。
「そ、そう……」
 予想とは違うリアクションを取られて、予定が狂ったのか、高橋が言葉に詰まる。
 気詰まりな空気が車内に少しだけ流れる。
 が、赤信号で車が止まり、体が揺れたのを切欠にまた高橋が問いかけてきた。
「その、佐藤さんはまだ未成年で学生です。先生とのお付き合いするには不釣合いだと思います」
 この犯罪者、ぐらいは言われると思っていたのだが、存外柔らかい高橋の言い方に松葉は驚いた。
 騒ぎ立てる雰囲気もしないので、これは言い包められるかもしれない。
「そうかもしれんが、俺達は節度を持ってだな「校内でキスするのが節度を持った付き合いですか?」
 ぐっと言葉に詰まる。
「覗いてたんですか?」
 樹理の言葉がとげとげしい。
「先生が自分で保健室に連れていくなんて、珍しいかったので後をつけさせてもらいました」
 今度の高橋は動じない。
 信号が青に変わったので、松葉がアクセルを踏み込む。
 バックミラー越しに後ろを伺うと、思いつめたように顔を強張らせる高橋と目が合った。
「恋愛は自由だと思いますが、こういう体で触れ合うような不純な付き合い方は控えて頂きたいんです」
 未成年なんですよ、とさらに高橋が続ける。
 援助交際だ、なんだとモラルの低下が目に付く昨今、
ここまで硬く「男女交際」を考えている人間が居るとは思わなかった。
 ある意味、天然記念物だ。
 松葉が変な方向で関心していると、高橋を横目で睨んでいた樹理が口を開いた。
「セックスをすると不純なんですか?」
 今度こそブレーキを踏み込みそうになる。
「樹理、お前っ!」
「え!?な…!」
 セックス、という単語に動揺した高橋は松葉と樹理を交互にキョロキョロと見つめる。
 事の最中の現場を押さえられた訳でも無いのだから、惚けられたものを……。
 先ほどから後部座席を伺うのに忙しい松葉。
 樹理は開き直ったのか、しれっとした態度で続ける。
「私、せんせぇとしかシた事無いし、せんせぇだって私とシてからは他の女の人とシてないと思います」
 二人ともお互いを思ってるんですよ、と言外に匂わせる。
 松葉は、いや、確かにそうだが、それだけでは何とも、と言いかけるが、耐える。
「それに好きになったらセックスしたくなるのは自然な事じゃないですか?」
 松葉はまたも、反論したくなったが、耐えた。
 自分達は好きあってからセックスした訳では無い…などと口走ろうものなら、
そこで松葉の人生は終わりかねない
 高橋をなんとか言いくるめられるだろうか……本日何度目か、松葉はバックミラーで高橋を伺った。
「……っ!」
 高橋は顔を真っ赤にして、何か言いたげに口を動かしているが、言葉が出てこないようだ。
 そんな高橋に樹理が上目遣いの視線を送りながら追い討ちを掛けた。
「高橋先輩、処女でしょ?」
「っ!?あ、当たり前でしょ!」
「見たことないから、した事無いから悪い事のように感じちゃうんですよ」
 高橋が何か続けようとするが、樹理がさらに重ねる。
「私達だって、良く知らないで非難されちゃ素直に言う事聞けないです。だから…」
 樹理が、ふわりと笑う。
「私達がする所、見てみて下さい」
 そんな馬鹿な理論があるか、と心の底から思った。
 樹理が何を狙ってそんな方向に話を持っていったのかが、さっぱり解らない。
 が、高橋は「そ、そんな事…!」と小さく呟いたきり真っ赤になって黙り込み、
何故か否定、抵抗の意思を表さない。
 暫くして、樹理のマンションに到着した。
 
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